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【感想・要約】盗撮をやめられない男たち(著:斉藤章佳)

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今回は斉藤章佳さんの「盗撮をやめられない男たち」を紹介します。

 

目次
・基本情報

・この本を読もうと思ったわけ

・内容紹介

・この本で学んだこと

・まとめ

「盗撮をやめられない男たち」の基本情報

著者名 斉藤章佳

判型 四六判

発売日 2021/09/02

ISBN 9784594089290

ハマったら抜け出せない。

盗撮は依存症だった!

検挙件数がこの10年で倍増している、痴漢と並ぶ日本の2大性犯罪“盗撮”。

そんな盗撮が薬物やアルコールと同じく、やめたくてもやめられない「依存症」だと知ったら驚くだろうか。

アジア最大規模の依存症治療施設で、これまでに2000人以上の性犯罪加害者治療に携わってきた専門家である著者が、その手口や心理、治療方法を初めて解き明かす一冊。

盗撮加害者521人の大規模ヒアリング調査でわかった、「盗撮依存」の実態とは?

●四大卒・会社員・既婚の“普通の男性”が盗撮している
●犯行の7割がスマホ。うち9割が「無音アプリ」を使用
●犯行場所となる“盗撮多発エリア”は「電車」と「駅構内」
●加害者1人あたり推定1000回以上の余罪がある計算に!?
再犯率は4割近く。刑罰と反省だけでは再犯を防げない
●性犯罪の多くは「性欲が原因」ではない!
●盗撮を直接取り締まる法律はないため、法制化が議論に
東京五輪を機に女性アスリートの被害が社会問題化 etc.

斉藤章佳

精神保健福祉士社会福祉士

大船榎本クリニック精神保健福祉部長。1979年生まれ。

大学卒業後、アジア最大規模と言われる依存症回復施設の榎本クリニックでソーシャルワーカーとして、アルコール依存症をはじめギャンブル・薬物・性犯罪・DV・窃盗症などさまざまな依存症問題に携わる。

専門は加害者臨床で、現在までに2000人以上の性犯罪者の治療に関わる。

「盗撮をやめられない男たち」を読もうと思ったわけ

少し前に男性が側溝から女性の下着を盗み見ようとして、逮捕される事件がありました。

彼は過去にも同じ罪を犯しており、「なぜやめられないのだろう?」と疑問に思いました。

そこから盗撮する人の心理を知りたいと思ってこの本を読みました。

「盗撮をやめられない男たち」の内容紹介

1.盗撮は”女性をモノ化”する性犯罪

「盗撮とは、相手に気づかれないように、日記を盗み見る行為なんです。

その優越感は、日常生活では絶対に味わえないですから」(略)

先ほどの加害者の言葉は、「盗撮は男性のちょっとしたスケベ心から行われるもの」と思っていた人にとって、かなり意外かもしれません。

しかしこの言葉は、これ以上にないほど盗撮という性犯罪の本質を表した言葉だと思います。(P.2)

痴漢やレイプなどほかの性犯罪と盗撮が異なる点は、相手の反応を間近で見て楽しむような「直接的な支配要求」ではないということです。

相手は、よもや自分が被害に遭っていることには気づいていない。

しかし自分は安全圏(もちろん安全ではありませんが)にいて、「俺はお前のことをすべて知ってるけど、お前は俺のこと知らないよな」と思っているような、非対称性における優越感を感じ取ることができます。(P.116) 

僕は盗撮を卑劣な行為だと思っていましたが、性犯罪とまでは認識していませんでした。

この本を読んで「盗撮は性犯罪」であり、絶対にしてはいけない行為だと学びました。

2.盗撮は”学習された負の行動”

盗撮行為に依存する人は、性欲を満たすことにハマる以上に、一連の行為における「緊張と緊張の緩和」により、ストレスが軽減されることに耽溺していくのです。

この「一時的にストレスが緩和・軽減されるからハマっていく」ことこそ、行為依存の本質であると考えています 。(P.114)

学習された問題行動を変容するには、治療を通して新たな学習をするなかで身に着けた行動を実践し、「認知の歪み」にチャレンジしながら新しい行動パターンを生活のなかに落とし込む訓練をしていかなくてはなりません。

何もせずに自然にやめられるようになるものでは決してないのです。

いわば依存症の治療とは、今まで右手で使っていた箸を左手に持ち換えて生活できるようにするのと同等なのです。(P.88)

盗撮は性欲を発散するための行為だと思っていましたが、実際は悪い学習により生じる依存行為だと知りました。

ストレスがかかったときにどれだけ適切なコーピングができるかが大事だと思いました。

3.盗撮の裏にある男性優位社会

現代の日本社会に生きる以上、私たちはどうしても男尊女卑的な価値観に基づく認知の歪みを学習しやすくなっています。

盗撮加害者として生まれてくる男性はいません。

盗撮加害者になりたくて生まれてきた男性もいません。

この社会のなかで、彼らは盗撮加害者になっていくのです。(P.128) 

アルテイシアさんは、「男の性欲は女がケアすべき」という価値観が刷り込まれたこの社会を、漫画家の瀧波ユカリさんの言葉を借りて、「ちんちんよしよし社会」と呼んでいます。(P.225)

盗撮は個人の犯罪であると同時に、男性優位的な社会の問題でもあると知りました。

男性が過度に”男らしさ”を強要される空気も、盗撮の原因なのかもしれません。

盗撮を社会全体で考えていく必要があると思いました。

「盗撮をやめられない男たち」のまとめ

タイトルのインパクトに惹かれて読みましたが、大変まじめで為になる本でした。

依存症は誰でもなる可能性があり、自分も他人事ではないなと感じました。

盗撮加害者の治療についても詳しく書かれており、興味深かったです。

”自分は盗撮なんてするわけない”と思っている人にこそ読んでもらいたいです。

本屋で買うのが恥ずかしい方には、電子版をオススメします。

 

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