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今回ご紹介するのは、児玉雨子さんの「##NAME##」です。
##NAME##(著:児玉雨子)
〇こんな人にオススメ
・性加害問題(特に芸能界)に関心がある
・普段純文学系を読まない
目次
・基本情報
・この本を読もうと思ったわけ
・この本の内容紹介
・この本で学んだこと
・まとめ
「##NAME##」の基本情報
単行本 46 ● 164ページ
ISBN:978-4-309-03127-9
発売日:2023.07.18
光に照らされ君といたあの時間を、ひとは”闇”と呼ぶ――。
かつてジュニアアイドルの活動をしていた雪那。
少年漫画の夢小説にハマり、名前を空欄のまま読んでいる。
第169回芥川賞候補作
※本作は「夢小説」が重要なギミックになっています。
夢小説とは、漫画やアニメを二次創作したお話(小説)のことです。
「##NAME##」を読もうと思ったわけ
前に読んでいた本(タイトルは忘れました)で紹介されていたのがきっかけです。
小説は苦手なのですが、分量が少ないのでこれくらいなら読めるかなと思いました。
「##NAME##」の内容紹介
「子供じゃない」と再三再四言われたので、あの頃の私と美砂乃ちゃんの像に「児童」という言葉を与えても、その言葉から私と美砂乃ちゃんが逃げ出そうとする。
でも、どうしても「児童」だ。
どんな写真や動画が法に触れるかばかりで、誰からもその存在について言及されていない「児童」だ。
「世のお兄ちゃん」と呼びかけられた者たちは、何を恐れ、どんな我が身を守ろうとしているのだろう。
データを削除されたところで私はここにいるのに。(P.108)
「##NAME##」で学んだこと
ヒロインは幼い頃ジュニアアイドルの仕事をしており、大人になっても偏見の目を向けられています。
しかし彼女にとって、当時の思い出がすべて嫌という訳ではありませんでした。
友人との出会いもあったし、一度ですがテレビCMにも出演できた。
けれど周囲は「当事者として物語れ、怒れ」と言ってくる。
ヒロインはまだ人間的に自立できておらず、言葉にするにも心の拠り所がない。
性被害の体験は本人でも簡単にジャッジできないグラデーションがあるのではないかと思いました。
また語る権利語らない権利は当事者にあり、周囲が強制するものではないと考えたり…。
「##NAME##」のまとめ
すっきりとした文体、淡々とした日常を描く作風が印象的でした。
芥川賞候補の作品にしては読みやすく、短いですが読みごたえがありました。
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